高齢の父が免許を返納し、実家に父名義の車が残っている。
「父の代わりに自分が廃車できる?」
「父本人も窓口へ行かないといけない?」
と迷う方もいるでしょう。
親が存命で、本人が車の処分に同意している場合は、子どもが代理で廃車手続きを進められるケースがあります。
ただし、車検証上の所有者や、普通車・軽自動車の違い、選ぶ廃車方法によって必要な書類や手続きは変わります。
また、処分が目的なら、必ずしも「親名義から子ども名義へ変更してから廃車」という順番にする必要はありません。
まずは車検証を確認し、親本人から何を準備してもらう必要があるのかを整理するところから始めましょう。
親本人が手続きに行けなくても進められる
「所有者本人でなければ廃車できない」とは限りません。
父が高齢で窓口へ行くのが難しくても、必要な委任手続きをしたうえで、子どもが代理人として進められるケースがあります。
大切なのは、所有者である親本人が車の処分に同意していることです。
子どもが普段から親の車を管理していたとしても、本人の意思を確認せず勝手に処分してよいわけではありません。
今回のように、
「もう乗らないから処分していい。手続きは任せる」
と父本人の意思が明確なのであれば、必要書類を確認して代理手続きを進めます。
一度子どもの名義に変更する必要があるとは限らない
廃車について調べると、
「まず名義変更したほうがいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、自分がその車を引き継いで乗るわけではなく、処分することが目的なら、廃車のためだけに一度子ども名義へ変更するとは限りません。
父名義の状態から代理で進められる手続きがあるため、先に名義変更を始めるのではなく、
「父名義の車を、息子が代理で廃車したい」
と伝えて必要な手続きを確認したほうが、二度手間を防ぎやすくなります。
最初に車検証の「所有者」を確認する
親本人が所有者になっているか確認する
最初に見るのは、車検証に記載されている「所有者」です。
父が長年乗っていた車だからといって、必ず父本人が所有者とは限りません。
車検証では「所有者」と「使用者」が分かれている場合があります。
今回の手続きを考えるうえでは、誰が車検証上の所有者になっているかが重要です。
まず車検証を確認し、
- 所有者が父本人か
- 使用者は誰か
- 販売店や信販会社などの名前が入っていないか
を確認してください。
実家が遠い場合は、家族に車検証の写真を送ってもらい、次に実家へ行く前に確認しておく方法もあります。
販売店や信販会社が所有者なら先に確認する
ローンを利用して購入した車では、販売店や信販会社などが所有者になっていることがあります。
この状態は、一般に所有権留保と呼ばれます。
所有者が父本人ではない場合、父から委任状をもらっただけで廃車手続きを進められるとは限りません。
まず車検証上の所有者へ連絡し、
- ローンが完済されているか
- 所有権解除が必要か
- 廃車するにはどの手続きが必要か
を確認します。
「父が乗っていた車=父が所有者」
と思い込まず、車検証を最初に確認することが重要です。
親の車を廃車するときに必要なもの
親側で準備する書類
普通車を子どもが代理で廃車する場合、親本人から委任状などを準備してもらうことがあります。
また、選ぶ手続きによっては、親の印鑑証明書などが必要になる場合があります。
そのほか、
- 車検証
- ナンバープレート
- 廃車手続きに必要な申請書類
- 解体した場合の情報
なども関係します。
ただし、一時的に登録を止めるのか、車を解体して完全に処分するのかによって必要なものは異なります。
最初から書類を集めるのではなく、廃車方法を決めたうえで必要書類を確認しましょう。
子どもが代理で手続きするときに確認するもの
子どもが代理で窓口へ行く場合は、親から受け取る書類に不備がないか事前に確認します。
特に委任状は、
- 必要事項が記入されているか
- 委任する手続きの内容が合っているか
- 必要な押印がされているか
を確認しておきます。
書類の様式や必要なものは手続き内容によって変わるため、管轄の窓口へ事前に確認してから親に準備してもらうと確実です。
親と別居しているなら必要書類を先に揃える
実家まで車で2時間かかる場合、書類を一つ忘れただけでも大きな負担になります。
次に実家へ行く前に、
- 車検証の写真を確認する
- 普通車か軽自動車か確認する
- 所有者を確認する
- どの方法で廃車するか決める
- 親に準備してもらうものを確認する
という順番で進めると効率的です。
親に、
「とりあえず車関係の書類を全部出して」
と頼むより、必要なものを先に整理して伝えたほうが負担も減らせます。
親名義の普通車を廃車する手続きの流れ
①車検証で所有者を確認する
最初に車検証上の所有者を確認します。
父本人が所有者なら、父の意思を確認したうえで代理手続きを進めます。
販売店や信販会社などが所有者なら、先にその所有者へ確認してください。
②廃車方法を決める
「廃車」と呼ばれる手続きは一つではありません。
普通車では、大きく分けると、
- 車を今後使わず解体して処分する
- 一時的に車の使用を止める
という違いがあります。
今回のように、
「家族の誰も乗らないので車そのものを処分したい」
のであれば、解体を含めて完全に処分する方向で確認することになります。
一方、将来また使う可能性があるなら、一時的に登録を止める方法もあるため、目的に合わせて選びます。
③親と子どもで必要書類を準備する
廃車方法が決まったら、親側と子ども側で必要なものを整理します。
父本人には、委任状など所有者側で必要になる書類を準備してもらいます。
子ども側は、
- 必要書類の確認
- 車検証やナンバープレートの管理
- 車の引き取りや解体の手配
- 窓口手続き
などを担当する形になります。
父本人を窓口まで連れて行くことを前提にせず、代理で進めるために必要な準備を確認しましょう。
④必要に応じて車を解体する
今後その車を使用せず完全に処分する場合は、車の解体が関係します。
車が動かなくても処分できないわけではありません。
自走できない車の場合は、積載車やレッカーなどで引き取りに対応している業者へ依頼する方法があります。
このとき、
車を引き取ってもらうだけなのか、解体や登録上の廃車手続きまで依頼するのか
を確認しておきましょう。
⑤運輸支局などで手続きをする
普通車の抹消登録は、運輸支局などで行います。
手続き内容に応じて、ナンバープレートの返納なども行います。
自分で手続きするのであれば、必要書類を揃えて窓口へ行きます。
一方、平日に時間を取るのが難しい場合や実家が遠い場合は、業者に手続きを代行してもらう方法もあります。
親名義の軽自動車を廃車する場合は手続きが違う
軽自動車は軽自動車検査協会で手続きする
父の車が軽自動車なら、普通車と同じ窓口ではありません。
軽自動車の手続きは、軽自動車検査協会で行います。
普通車で使われる「永久抹消登録」や「一時抹消登録」といった名称をそのまま軽自動車へ当てはめるのではなく、軽自動車として必要な手続きを確認してください。
普通車の廃車手続きをそのまま当てはめない
普通車と軽自動車では、
- 手続き先
- 申請内容
- 必要書類
に違いがあります。
ネットで「親名義の車を廃車する方法」を調べたときは、その情報が普通車向けなのか軽自動車向けなのかも確認しましょう。
まず車検証で車種を確認してから必要書類を揃えると、無駄を減らせます。
親が高齢で窓口へ行けない場合はどうする?
子どもが代理で手続きを進める
今回のように、
「父は車を処分することには同意しているけれど、窓口へ行くのは負担」
という場合でも、本人が行けないことだけを理由に諦める必要はありません。
必要な委任手続きを行えば、子どもが代理で手続きを進められるケースがあります。
まず手続き先へ、
「所有者は父ですが、高齢のため息子が代理で廃車手続きをします」
と伝え、必要な書類を確認してください。
これなら、父には必要な署名や書類の準備だけをお願いし、それ以外を子どもが担当しやすくなります。
親本人が手続きできるうちに確認しておく
父がすでに車を手放すことに同意しているのであれば、本人の意思を確認できるうちに必要な準備を進めておくと安心です。
これは、急いで車を処分しなければならないという意味ではありません。
ただ、
- 処分する意思
- 必要な委任
- 必要書類の準備
を本人ができる状態なら、後から手続きが複雑になるのを避けやすくなります。
高齢の親に何度も書類を探してもらうより、必要なものを先に整理して、一度で準備してもらうほうが負担も少なくなります。
自分で廃車するのが難しいなら業者へ依頼する方法もある
廃車手続きを代行してもらえる場合がある
仕事があり平日に窓口へ行けない、実家が遠い、車が動かないといった場合は、廃車を扱う業者へ依頼する方法もあります。
業者によっては、
- 車の引き取り
- 解体
- 登録手続きの代行
などに対応しています。
自分ですべて行う場合と比べて費用がかかることもありますが、実家への往復や平日の手続きにかかる負担まで含めて考えると、依頼したほうが現実的なケースもあります。
依頼するときは親名義の車であることを最初に伝える
業者へ問い合わせる際は、
「父名義の車で、父は存命ですが、高齢なので息子の自分が手続きを担当します」
と最初に伝えてください。
そのうえで、
- 親本人が用意する書類
- 子どもが用意するもの
- 委任状の有無
- 車の引き取りに対応しているか
- 登録上の廃車手続きまで任せられるか
- 費用はいくらか
を確認します。
「全部任せられると思っていたら、結局父の書類が必要だった」
ということを避けるためにも、依頼する範囲を明確にしておきましょう。
廃車する前に「本当に値段がつかない車か」を確認する
古い親の車でも売れる可能性はある
父の車が古いと、
「こんな車はもう廃車しかないだろう」
と思うかもしれません。
ただし、
- 年式が古い
- 走行距離が多い
- 車検が近い、または切れている
- 長期間乗っていない
といった理由だけで、必ず価値がゼロになるわけではありません。
車種や状態によっては、売却できることもあります。
売れるなら廃車ではなく売却する選択肢もある
今回の本当の目的は、
「廃車手続きをすること」ではなく、不要になった親の車を整理すること
です。
そのため、まだ廃車業者へ引き渡していないのであれば、
本当に値段がつかない車なのか
だけ確認してから処分方法を決めてもよいでしょう。
値段がつけば売却を検討し、売却が難しければ廃車を進めるという順番なら、選択肢を残したまま判断できます。
親名義の車は、車の状態だけでなく、実家までの距離や「何度も査定対応したくない」といった家族側の事情によっても合う売り方が変わります。
親の車を廃車したあとに確認すること
自動車税などを確認する
廃車が終わったら、税金についても確認します。
普通車と軽自動車では税金の扱いが異なり、手続き時期によっても変わります。
「車を処分したから税金関係もすべて自動的に終了した」
と思い込まず、今回の廃車手続きでどのような扱いになるのか確認しておきましょう。
自動車保険の契約も確認する
父がその車について任意保険へ加入している場合は、廃車後に保険会社や代理店へ連絡します。
今後ほかの車に乗る予定がないなら解約を検討します。
一方、今後また車を所有する可能性がある場合は、中断制度を利用できるケースもあります。
廃車だけで終わらせず、税金や保険まで整理すれば、親の車に関する手続きを一通り終えやすくなります。
親が亡くなっている場合は手続きが変わる
死亡後は通常の代理廃車として進めない
この記事は、親が存命で、本人が車の処分に同意しているケースを前提にしています。
もし車の所有者である親がすでに亡くなっているなら、同じ方法では進めません。
死亡後は車も相続に関係するため、
- 相続人は誰か
- 誰が車について手続きをするか
- 相続関係を証明する書類は何か
といった確認が必要になります。
亡くなった親の車は相続を前提に手続きを確認する
父が亡くなったあとに父名義の車が残っている場合は、存命中のように本人から委任状を書いてもらうことはできません。
そのため、相続関係を確認したうえで、死亡後の廃車手続きを進めることになります。
「親名義の車」という点は同じでも、親が存命か死亡しているかで手続きは大きく変わると考えてください。
まとめ|親が元気なうちに車検証と必要書類を確認しよう
高齢の親がもう車に乗らず、本人も処分に同意しているなら、子どもが代理で廃車手続きを進められるケースがあります。
最初に行いたいのは、車検証の確認です。
そのうえで、
- 車検証上の所有者を確認する
- 普通車か軽自動車か確認する
- どの方法で廃車するか決める
- 親に用意してもらう書類を確認する
- 子どもが代理で進めるか、業者へ依頼するか決める
という順番で進めると分かりやすくなります。
処分するだけなら、廃車のために一度子ども名義へ変更する必要があると決めつけないことも大切です。
また、「古いから廃車」と考えている場合は、手続きを始める前に売却できる可能性だけ確認しておけば、納得したうえで処分方法を決められます。
父本人を何度も動かすのではなく、まず車検証を確認し、必要なものを整理してから一度で準備を進めましょう。