父や母が運転をやめ、親名義の車を子どもが使っているケースはあります。
「今も普通に乗れているし、名義変更しなくてもいいのでは?」
と思うかもしれません。
ただし、親から車を譲り受けて実質的に所有者が変わっているなら、名義変更をしないままでよいとはいえません。 また、親名義の状態を長く続けると、自動車税や保険の確認だけでなく、将来の売却・廃車、親が手続きできなくなった場合や亡くなった場合に手続きが複雑になることがあります。
この記事では、「名義変更しないと何が起こるのか」を整理したうえで、今後も使う・売る・廃車するという予定に合わせて、次に何をすればいいのかを確認します。
親名義のままでも車に乗れるケースはある
車検証上の所有者と、実際に運転する人が違うケースはあります。
そのため、「親名義だから子どもは運転できない」と一律に考える必要はありません。
ただし、親から子へ車そのものを譲り受け、所有者が変わったのであれば、名義変更の手続きが必要になります。
普通車では、所有者の変更があった場合、原則として変更があった日から15日以内に移転登録を申請することとされています。
「今問題なく乗れているから、そのままで大丈夫」とは考えず、実際に車を譲り受けているのか、単に親の車を借りて使っているだけなのかを整理することが大切です。
名義変更しないことで問題になりやすいこと
親名義のまま使い続けていると、主に次のような場面で確認や手続きが必要になります。
- 自動車税の通知や支払い
- 自動車保険の契約内容
- 将来の売却
- 廃車
- 親が意思表示や手続きをできなくなった場合
- 親が亡くなった場合
特に親が高齢なら、「今乗れるか」だけでなく、最後にその車をどうするかまで考えておくと判断しやすくなります。
親名義のままだと自動車税はどうなる?
自動車税の通知は登録情報をもとに届く
普通車の自動車税(種別割)は、原則として4月1日時点の所有者に課税されます。
親名義のままなら、納税通知書も登録されている住所をもとに親側へ届くことになります。
実際に子どもが車を使っているからといって、自動的に子ども宛てへ変わるわけではありません。
そのため、親名義のまま使うのであれば、
- 誰の名義になっているか
- 通知書がどこへ届いているか
- 誰が支払っているか
を確認しておきましょう。
親と別居している場合は特に注意する
実家と離れて暮らしている場合、税金の通知が親の家へ届いても、子ども側では気づきにくいことがあります。
親が高齢になると、
「通知が届いていたことを忘れていた」
「支払ったと思っていた」
ということも考えられます。
名義をそのままにするのであれば、少なくとも税金の通知先と納付状況は、親任せにせず確認できるようにしておくと安心です。
親名義のままだと自動車保険はどうなる?
車の名義と保険の名義は同じとは限らない
車検証上の所有者・使用者と、自動車保険の契約者や記名被保険者は、それぞれ別の項目です。
そのため、
「車が親名義だから保険が使えない」
と一律にはいえません。
重要なのは、保険の契約内容と、実際に車を使っている状況が合っているかです。
実際に運転する人や使用状況が変わったら保険会社へ確認する
これまで父が主に運転していた車を、現在は別居している子どもが日常的に使っているのであれば、保険会社や代理店へ現在の状況を伝えて確認しておきましょう。
特に確認したいのは、
- 主に運転する人
- 運転者の範囲
- 年齢条件
- 車の使用目的
- 車の保管場所
などです。
契約内容によって扱いは異なるため、「親名義の保険だからそのままで大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
事故が起きてから確認するのではなく、実際の使い方が変わった時点で保険会社へ確認するのが確実です。
親名義のままでも車検は受けられる?
名義が親だからという理由だけで車検を受けられないわけではない
「名義変更していないと次の車検を受けられないのでは?」
と心配になるかもしれません。
しかし、車検証上の名義人と実際に車を持ち込む人が違うことだけを理由に、車検を受けられないわけではありません。
そのため、親名義の車を子どもが使っていても、車検を受けられるケースはあります。
車検を受けられることと名義変更が不要かは別
注意したいのは、
「車検を受けられた=名義をそのままにして問題ない」
ではないことです。
車検と所有者変更の手続きは別です。
今後も自分の車として長く使うのか、それとも近いうちに売る・廃車するのかによって、考えるべき次の手続きも変わります。
親名義のままだと売却するときに困ることがある
子どもが自分の判断だけで自由に売れるとは限らない
車検証上の所有者が親であれば、子どもが普段使っているからといって、自分の車と同じように自由に売却できるとは限りません。
売却時には、車検証上の所有者の確認に加えて、親本人の意思確認や、委任状などの書類が必要になることがあります。
必要書類は車種や売却先によって異なるため、実際に売る段階になったら事前に確認しましょう。
親が元気なうちは代理で売却できる場合がある
親が存命で、売却について本人の意思を確認できるのであれば、家族が代理で手続きを進められるケースがあります。
その場合も、子どもが勝手に売るのではなく、親の意思を確認したうえで必要な書類を揃えて進めます。
親が手続きできなくなると売却が難しくなる可能性がある
注意したいのが、親が高齢になり、契約内容を理解したり意思表示をしたりすることが難しくなった場合です。
本人の意思確認ができない状態では、単に委任状を書いてもらえば解決するとは限りません。
状況によっては成年後見制度などが関係することもあるため、
「売るときになってから考えればいい」
と先延ばしにすると、手続きが難しくなる可能性があります。
親が元気なうちに、
- このまま子どもが乗る
- 近いうちに売る
- 廃車する
のどれにするのか、家族で方向性だけでも決めておくと動きやすくなります。
親名義のまま廃車するときはどうなる?
子どもが勝手に廃車できるとは限らない
廃車する場合も、車検証上の所有者が親なら、子どもが自分の判断だけで手続きを進められるとは限りません。
親が意思確認できる状態であれば、子どもが代理で手続きを進められるケースがありますが、普通車か軽自動車かによって手続き先や必要書類も異なります。
廃車すると決めた時点で必要書類を確認する
廃車することが決まったら、
- 車検証上の所有者
- 普通車か軽自動車か
- 親本人が手続きできるか
- 子どもが代理で進めるのか
を確認したうえで、必要書類を揃えます。
廃車する予定なのに、一度子ども名義へ変更する必要があると自己判断せず、現在の名義のままどのように手続きできるかを確認してから進めると二度手間を避けやすくなります。
親が亡くなるまで名義変更しなかったらどうなる?
親名義の車は相続の対象になる
親名義のまま親が亡くなった場合、その車も相続財産の一つとして扱われます。
それまで子どもが何年使っていたとしても、
「自分が使っていたから、そのまま自分の車になる」
わけではありません。
相続人が複数いれば、誰が車を引き継ぐのかを含めて相続手続きが関係してきます。
売却・廃車にも死亡後の手続きが必要になる
親が亡くなったあとに車を売る、廃車する、自分が引き継ぐという場合は、存命中の代理手続きとは扱いが変わります。
戸籍など、相続関係を確認するための書類が必要になるケースもあります。
この記事では、生存している親名義の車を前提にしているため、死亡後の具体的な相続や名義変更の手続きまでは深掘りしません。
親が元気な今なら本人へ意思確認できるため、将来の手続きを増やしたくない場合は、今後その車をどうするのか一度話しておくとよいでしょう。
親の車は今のうちに名義変更したほうがいい?
名義変更を検討したいケース
たとえば、次のような状況なら、親から子への名義変更を具体的に検討しやすいでしょう。
- 親はもうその車に乗らない
- 車を子どもへ譲ることが決まっている
- 今後は子どもが長く使い続ける
- 親子が別居していて、税金や書類の管理が煩雑になりがち
- 親が高齢で、将来の手続きに不安がある
今回のように、父から「もう乗らないから使えばいい」と車を譲り受け、今後も自分が使うのであれば、名義変更を先延ばしにせず確認する意味は大きいでしょう。
すぐ名義変更する前に確認したいこと
一方で、手続きを始める前に現在の状態を確認します。
まずは車検証を見て、
- 所有者は誰か
- 使用者は誰か
- 販売店やローン会社が所有者になっていないか
を確認してください。
あわせて、
- 自動車保険の契約内容
- 自動車税の通知先と納付状況
- 親本人の意思
- 今後その車を使う・売る・廃車するのどれにするか
も整理します。
ローンなどの関係で販売店や信販会社が所有者になっている場合は、親から子への通常の名義変更とは手続きが異なります。
売る予定なら名義変更が本当に必要か先に確認する
近いうちに売る予定なら、
「売る前に、まず父から自分へ名義変更しないといけない」
と決めつけないでください。
親が存命で意思確認ができるのであれば、親名義のまま家族が売却手続きを進められるケースがあります。
そのため、売却する方向に決まった段階で、まず売却先へ
「親名義の車を子どもが中心になって売りたい」
と伝え、必要な手続きや書類を確認すると、不要な名義変更を避けられる可能性があります。
親の車を売ることが決まった場合は、名義の問題だけでなく、車の状態や家族側の負担によって合う査定・売却方法も変わります。
親名義から子ども名義へ変更する場合の流れ
今後も自分が使い続けるために名義変更する場合は、まず現在の車検証を確認するところから始めます。
まず車検証で現在の所有者を確認する
最初に確認したいのは、車検証上の「所有者」です。
父が乗っていた車でも、ローンの契約などによって販売店や信販会社が所有者になっていることがあります。
この場合は、父本人が所有者になっている車とは手続きが異なるため、所有者欄を確認せずに書類を集め始めないようにしましょう。
必要書類を確認する
親から子へ名義変更するときに必要な書類は、普通車か軽自動車か、現在の登録内容などによって異なります。
普通車では、譲渡証明書や印鑑証明書、車庫証明などが関係することがあります。
実際に手続きを始めるときは、自分の車の条件に合わせて最新の必要書類を確認してください。
普通車と軽自動車では手続き先や必要書類が異なる
普通車と軽自動車では、名義変更の手続き先が異なります。
普通車は運輸支局など、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きを行います。
必要書類にも違いがあるため、一般的な「車の名義変更」の情報だけを見て準備するのではなく、自分の車種に合った手続きを確認しましょう。
まとめ|親名義のままにするなら将来の処分まで考えておこう
親名義の車を子どもが運転しているからといって、直ちに車に乗れなくなるわけではありません。
ただし、親から車を譲り受けて所有者が変わっているのであれば、名義変更が必要になることがあります。
また、親名義の状態を続けるなら、自動車税や保険だけでなく、将来の売却・廃車まで考えておく必要があります。
特に親が高齢の場合は、本人が手続きできなくなったり、亡くなって相続手続きが必要になったりする可能性もあります。
今後どうするかは、車の予定によって整理すると分かりやすくなります。
- 今後も長く自分が使う → 親から子への名義変更を確認する
- 近いうちに売る → 先に名義変更せず、親名義のまま売却できるか確認する
- 廃車する → 親名義の状態から必要な廃車手続きを確認する
「今は乗れているから何もしない」ではなく、車検証の所有者を確認し、親が元気なうちに今後の方針を決めることから始めてみてください。
